アルコール依存症入院治療 「入院しても完治しない恐ろしい病気の現実」

アルコール依存症入院体験談等

アルコール依存症で精神科の閉鎖病棟に入院した私。入院中の一環で、アルコール依存症治療プログラム(APP)というものを受けた。そこで、まず学んだのは「アルコール依存症は完治しない」ということだ。他にもアルコール依存症の特徴として否認の病気など重要なキーワードがあるが、ここでは「完治しない病気」という点について書いていきたいと思う。

アルコール依存症を公表している山口達也さんの会社設立のコメントでも、アルコール依存症は完治することのない病気だ、と一番に表記されている。

私がこの度患っている「アルコール依存症」は、
完治しないと医師に宣告されました

この病気と一生付き合って行こうと決めました

この病気を克服する方法はただ一つ、
「アルコールを一生一口も飲まない」事です

https://yamaguchi-tatsuya.co.jp/

このホームページでの宣言は、彼自身が自分のアルコール依存症を甘く見ることなく一生付き合い続けていくという決意表明のように感じる。一生自分自身を戒めて、アルコールを飲まないと表明しなければならない。それほどまでにアルコールの依存性は高く、自分では治ったと思っても油断すると脳がアルコールを欲してしまうタイミングが必ず出てくる病気なのである。

完治しないって、なんて恐ろしい病気。。。

でも、なぜ完治しないのだろう?

アルコール依存症が完治しない理由

まず、アルコール依存症とは、自分で酒を飲む量を調節したり、我慢することができなくなる病気だ。はじめは、自分でコントロールしながら飲酒していたとしても、大量飲酒、継続飲酒によって徐々に脳の機能が侵されていき依存症に至ってしまう。そして、飲酒のコントロールが不可能になる経緯についてはドーパミンというホルモンが大きく関係している。

飲酒により幸福感を感じるドーパミンの分泌が活発に

「おいしいから」、「ストレスを解消したいから」、など飲酒の理由は人によって様々だ。しかし、飲酒によって脳内でドーパミンの分泌が活発になるという現象は飲酒の理由に関係なく起こる。

このドーパミンというものは幸福感を感じるホルモンともいわれ、喜びを感じた時や達成感を得た時に分泌されるものである。飲酒をするとドーパミンの分泌が活発になり幸福感を感じやすくなるのだ。

お酒を飲むとよい気分になったり、ストレスから解放された気になるのは、

ドーパミンの分泌が大きく関わっているみたいだね。

継続飲酒、大量飲酒によりドーパミンへの耐性がつき、飲酒がエスカレート

さらに、飲酒が習慣化してドーパミンの分泌に脳が慣れていくと、ドーパミンの受容体が増え耐性がついていく。今までと同じ量の飲酒では幸福感や高揚感を感じにくくなっていくのだ。

これにより、幸福感を得るためにさらに多量の飲酒や継続飲酒をしてエスカレートした結果、依存症に至ってしまう。

脳が「飲酒によりドーパミンの分泌を活発にし、幸福感を得る」というルーテインを記憶してしまうと飲酒のコントロールが困難になってしまうのだ。このようなアルコール依存の状態に陥ってしまうと、初めに飲み始めたきっかけに関係なく飲酒欲求が出てしまう。

「おいしいから」や「ストレス解消」の為というきっかけではなく、ただただ、ドーパミンの分泌を欲する脳の記憶で飲酒をしてしまうのだ。そして、本来の飲酒の目的など関係なく、ドーパミンの分泌による幸福感を求めるようになり、社会との関わりを無視した異常な飲酒行動につながってしまう。

ドーパミンへの耐性がついていくことで、飲酒がエスカレートして

アルコール依存症になってしまうんだね。

ドーパミン分泌による幸福感の記憶は、脳から消えない為、完治しない

こうしてドーパミンの分泌のブーストによって幸福感を得る体験を、脳が記憶してしまうとこの記憶は一生消えることはない。そのため、アルコール依存症は一生完治しない病気と言われているのである。

治療によって飲酒をしない期間を作ったとしても、とあるタイミングやきっかけで飲酒を再開してしまうとドーパミン分泌による幸福感の体験をまた追い求めてしまう。例えば、20代のうちにアルコール依存症治療を受けて断酒を継続していても、60代になり仕事が落ち着いたタイミングで一口お酒に手を出してしまい、脳の記憶がよみがえり依存症を再発してしまうというような例がある。

一度アルコール依存症になった患者は、一生完治しないということを理解しなければならない。

完治しなくても回復して社会復帰することはできる

ここまではなぜアルコール依存症は完治しないかを説明してきた。一生完治しない病気なら、治療の余地がないのではと思うかもしれないがそんなことはない。

断酒(お酒を飲まないこと)を継続することにより回復をすることはできる。

アルコール依存症患者の多くは、アルコールを摂取していない状態では普通に社会人として行動することができる。お酒さえ飲まなければ健常者と変わらない活動をすることができるのだ。故に、断酒さえ継続できればアルコール依存症から「回復し社会復帰」することもできる。ただし、アルコール依存症の治療患者の内、断酒を継続できるのは約2割といわれている。断酒を継続することは非常に難しいことでもあるのだ。

完治はしないけど、断酒によって回復、社会復帰することはできるんだね。

でも、依存症患者にとって、断酒を続けるのは難しそう。

断酒するための自助グループと、断酒のための薬の服用

先ほども書いたようにアルコール依存症治療の退院患者のうち、断酒を継続できるのは約2割と言われている。

そのため断酒を継続するための支援として、「断酒会」や「AA(アルコホーリクス・アノニマス)」などの自助グループの活動が行われている。自分のみの力では断酒を続けることが難しい患者が多いため、患者同士でつながりを持ちお互いに断酒を継続していこうというグループだ。

このようなグループで活動することが断酒を続けるために大きな力になるだろう。

また、薬の服薬によって断酒を手助けするという方法もある。抗酒薬や、減酒薬を医師から処方してもらい服用することで、飲酒欲求を減らしたりアルコールを摂取できないようにする。

アルコール依存症患者にとって難しいといわれる断酒を続けるためには、本人の努力はもちろん、このような周りの支援も必要になってくる場合が多い。

断酒の継続を支援する自助グループで活動することで

患者同士で助けあうことができるんだね

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